ホテルマンの裏話 札幌編 2
札幌編 1 伊豆 下田編

●ホテトル騒動

高品質高単価が叫ばれグレードアップしたサービスの提供がホテルに求められていた時代でした。

ホテル利用客がホテトル嬢を宿泊してる部屋に呼ぶ困った事例が毎日のように発生した時期が有りました。

ご存知のように宿泊中のお客様をお訪ねされる場合はロビーか喫茶室でお会いいただくのが通例になっており、客室への入室は全てのホテルの宿泊約款でお断りが記入されています。

しかし、上階にレストランが設置されているホテルや出入りするお客様が多いホテルでは宿泊客との見分けがつかず、それはそれはロビーを守るホテルマン(ベル)泣かせの毎日でした。

電話ボックスに貼ってある例のチラシが客室のドアーの隙間に差し込んである事もあり、その稼業の人の入館ガードや警察への通報など本来の仕事とかけ離れたものでした。

○人の恋路を邪魔する奴?(ちょっと違いますよねー)

ある夜フロントインチャージ(責任者)からSOSが入りました、若い女性がエレベーターに乗ろうとしていたのをベルボーイがお泊りですか?と聞いたら違うと言い宿泊のお客様を尋ねると答えたようです。

当然ながら恐れ入りますがご面会はロビーでお願いいたしますと説明したところ、彼女から電話連絡受けた客が怒って怒鳴りだしたとの事、しかもレジストレーションカードを見ると顧客会社の部長職の肩書きでシングルルームをご利用です。

「俺の会社の社員に書類を届けさせたらお前の部下は部屋に通さない!融通が利かない」との言い分でした。そして本社の誰々に(偉い人)言うと怒りまくってます。

この頃ホテトルに関して基本を徹底して守るよう部下に指示して居た私はキッパリ答えました。

「お客様、私の部下は私の教育したとおり正しいお答えをしてます。融通が利かないと仰りましても私もご面会はロビーでお願い申し上げますと同じ事を申し上げるしかありません」・・・と格好いい私でした。

その客は翌日の朝早くそっとお帰りになりました。もちろん偉い人からの連絡もありませんでした。

その客の気持ちも分からないでもない私ですが・そんなら最初からダブルかツインで予約しろと言いたいですね。又このように表面化しない事例は他にも沢山ありました。

○893屋さん事件

関西の893屋さんが2人で宿泊しました、後で分かったのですがホテトルを呼んだようです。

ところがそのホテトルにお金(数百万円)を泥棒されたとホテトルの手配先に連絡し駆けつけた地元の893屋さんらしいお兄さんと口論になり室内でひどく殴ったようです。

その後フロントに電話が入りインチャージが部屋に行きホテルとして始めて事件が分かり本人たちにも了解をとり警察を呼んだようです。

傷害罪なのでしょう当然お縄となり連行されて行ったようです。

私は翌日ホテルとしての被害の請求書を作成し警察の方に相談しました。

テレビの破損や絨毯に血痕が付着したためその清掃代金と部屋が売れなくなったのでその期間の代金です。

警察の方曰く留置されてる本人に請求してくれとの事です。

興味があったのでちょっと聞いてみました、あれは狂言だったんですか?

「嫌どうも本当に盗られたらしい」成るほどそりゃー頭にきて殴るだろうし警察に取り戻して欲しかったんだ!

さて、その後藻岩辺の留置されてるお兄さんに会いに行きました。

長くホテルマンやってますが勿論始めての経験でした。

街で会ったら請求書などとても渡せられないようなかなり迫力のある大男でした。

くそ度胸出してかなり高い額の説明をしたものです。そしたら何と大男に泣きつかれ値切られました。

「支配人あんたも聞いたと思うが俺たちの身にもなってくれ・・・」「ちょっと負けてくれよ!」

元々多少でも入金できればとの腹ずもりでしたから確か1割位負けて現金で頂きました。

お兄さん曰く「支配人あんたを見込んで頼みがある」ヤバイ何だろう?「俺のダチが別の場所に留置されてるからこの始末を伝えてくれ」

私は胸を撫で下ろし良く分かりましたと男の約束をし菊水辺のもう一人のお兄さんに説明したものでした。

二人とも「ホテルさんには迷惑かけて済まなかった」と詫びていただけました。この方たちは本当に被害者だと感じたものです。

さて一体怖いお兄さんからお金を盗ったとされるホテトルが捕まったかどうか、出所した後の続きが有ったかどうかは知る由もありません。



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