認知症や重病で自分の判断力や意識が失われる前に、任意の後見制度や「私的遺言」の「エンディングノート」を使い、あらかじめ以後の生活や臨終の希望を記したり、人に託したりするシニアが増えている。一人や夫婦だけで暮らす高齢世帯が一般化し始める中、住宅リフォーム詐欺など老後の不安から身を守る意味もあるが、関係者は「最後まで自分らしく生きたいと願う人が多くなった」と指摘。今後、個性を大切にする団塊の世代が老境に入るため、こうした傾向の拡大が予想される。 判断力劣る前に 二○○○年度にスタートした成年後見制度は、判断能力が不十分になってから家庭裁判所が後見人を選ぶ「法定」と十分な判断能力があるうちに後見人を選んでおく「任意」に大別される。ともに後見は本人の判断能力が衰えてから始まるが、任意なら元気なころから「誰に何を支援してもらうか」を“予約”しておける。 任意後見人は事前の契約に基づき、預貯金の管理、不動産の売買、介護サービスを受ける手続き−などの法律行為を代行する。日常生活についても、契約に盛り込んでおけば、例えば「定期的に好物のメニューを食べさせて」など、本人の希望やこだわりを託せる。 食事献立予約も 任意後見契約は制度スタート当初、千件未満だったが、累計の件数は○五年度に約一万五千件に上った。前年度までの累計の五割増だ。 親族以外の第三者で、多くの会員(司法書士)が後見人を務める社団法人「成年後見センター・リーガルサポート」によると、契約した人は六十代からが多いが、「じっくり老後の人生設計をするなら、団塊世代をはじめ五十代の方が良い。遺言書を併せて作るなど、諸制度も上手に利用すべきだ」としている。 最近は、後見人が依頼者の財産を使い込む事件なども目立つ。同センターの杉山春雄常任理事は「親族でも、第三者でも、本当に信頼できる人を後見人に選ぶことが最も大切」と言う。 法的な効力はないが、「延命治療を望むかどうか」や、家族へ残す言葉を書き込むエンディングノートも複数の団体などから出版され、静かなブームになっている。 延命治療希望考え 特定非営利活動法人(NPO法人)「ニッポン・アクティブライフ・クラブ」(NALC)が四年前、会員の要望で作ったノートの発行部数は九万近くまで達した。最近は「定年退職のプレゼントにする」例も目立つ。NALCの早野矢須男企画室長はノートの意義について「これまでタブーだった話について自分の考えを記し、それを託すこと」と語っている。 北海道新聞社
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